こんにちは。あいこ(@aicoinoue)です。
プノンペン最終日、念願だった「ひろしまハウス」という場所を訪問してきました。
ずっと話には聞いていた場所だったので、
かなり楽しみな気持ちと、
こどもたちとどうやって接することができるかな、という気持ちが入交になりながら行ってまいりました。
ひろしまハウスとは
ひろしまハウスは、広島市民の寄付等で建てられた「カンボジア最期の教育の場」です。
ひろしまハウスは、カンボジアの首都プノンペンにあるウナローム寺院に、
ひろしまとカンボジアの平和と友好を祈念して建てられたました。
現在、貧困家庭の児童を対象に無償で教育と給食の支援をしています。
(ひろしまハウス ホームページより引用 http://hiroshimahouse.com/whats-hiroshima-house/)
わたしがこの「ひろしまハウス」を知るきっかけとなったのは、前の職場の上司である塚田さんの話からです。
塚田さんも、ひろしまハウス立ち上げの際から関わりを持っており、
「カンボジア最後の教育の場」であるひろしまハウス建設に尽力したということをよく聞かされていました。
負の歴史である原爆からの復興を遂げていた広島の姿と
ポルポトの大虐殺直後で混乱の中にあったカンボジアの姿を
多くの市民が重ね合わせ、どうにか力になりたい。とそう想い、行動に移していたようです。
なぜひろしまハウスに行きたかったのか
広島とカンボジアを繋げる役割を担うひろしまハウスが建設されて10年。
当時、かなり多くの方が関わり、そして建設に尽力されたと聞くひろしまハウスが
今、どうなっているのか。
どのように運営されているのか、
運営の全てを寄付等で賄われていると聞いていましたので、とても気になっていました。
そこでプノンペンに行くなら必ず行きたい、とずっと思っていました。
2年前、夫がワーホリの帰りにプノンペンに寄る、と聞いて、
「ぜひひろしまハウスにも行ってきてほしい!!!」
と言ったことを覚えています。
その時の写真や運営のお話しなどを聞いて、
ますますいつか必ずひろしまハウスに行くぞ!!!
と想いは募りました。
図らずも、夫もひろしまハウスについては、サッカー関係の知り合いからもともと知っており、
この時初めての訪問になったのも何かの縁だろうなと感じています。
夫は帰国してからも、ひろしまハウスのためのチャリティーフットサルに参加したりしていました。
その時の記事はこちら。
https://oriori1019.com/futtosaru-hiroshimahouse
訪問日は初の「うんどうかい」
わたしたちがひろしまハウスを訪れた日は、たまたまひろしまハウスで初めて行われた「うんどうかい」の日でした!
カンボジアの小学校では、体育や図工、美術、音楽などの副教科を教わることはないため、
もちろん普通の小学校にも「うんどうかい」はありません。
ですが、より日本的な運動会をこの場所で行いたい!というボランティアのまゆみさんの提案で今回運動会は開催されました。
カンボジアの子供達は集団行動を習うことがほぼないため、
一列に並ぶことも、
他人に合わせることも、
誰かと協力して運動することも初めて。
この日のために、何日か練習も行なったそうです。
そのため、当日は本当に大盛り上がり٩(●˙▿˙●)۶
しっぽ取りや綱引き、パン食い競争など、
たくさんの種目が行われました。
これらの種目は、こどもたちが、日本の運動会の動画を観て、
実際に自分たちがしてみたい競技を選んで決めたそう。
自分たちのチームの結果に一喜一憂し、
綱引きでは、お互いに試行錯誤する姿が見られました。
現地マネージャー友廣さんのお話し
日本人マネージャーが現地に必要な理由
現地の日本人マネージャーの友廣さんは、カンボジアでプロサッカー選手として活躍されており、
その傍ら、ひろしまハウスの運営をされています。
友廣さんがひろしまハウスの運営を任されてから約2年。
主に広島市民の寄付により賄われているひろしまハウスですが、
それまでは現地カンボジア人のスタッフに運営が任されていました。
その際、収支が不透明だった部分や現地の先生の考え方と日本にいる支援者の考え方の相違がみられることもあり、
日本人がマネージャーとして現地滞在することで、
カンボジア人スタッフの育成や、
カンボジア在住の日本人、広島にいる支援者との架け橋的役割を担うこととなったようです。
低所得家庭にいる、勉強の意欲のある子どもたちの勉強の場でありたい
現在のひろしまハウスは、
入学の際に、家庭訪問などでこれまでの就学状況や家庭環境を見て、入学するかを判断されているどのことでした。
貧困層にいるこどもたち(とその保護者)に、勉強したい!という意欲があることが条件。
カンボジアでは小中学校は無料で通えることとなっていますが、
実際は進級の際などにあるテストが有料。
また、テストに出題される問題は先生が有料で行なっている補修を受けていないと解けないような問題になっていることが多いらしく、
貧困層のこどもたちは小中学校に通えても、進級テストをクリアすることが難しいため、
ずっと同じクラスになり、進級出来ず、辞めていく子が多いようです。
また、カンボジアの学校は午前中3時間、もしくは午後3時間のどちらか。
親や保護者が一日中家を空けて仕事をしている場合は、子どもだけを家に置いておくことを嫌うため、
自分の仕事に同行させ、学校に行かせない保護者もいるようです。
ひろしまハウスでは、そういった、なんとか小中学校にいく時間は確保でき、勉強する意欲はあるけれど、
テストのための有料の補修を受けることができない子どもたちのための寺子屋的な役割も担っています。
また、給食も無料で食べられるため、
一日中働きに出ている保護者が、安心して子どもを預けられる場にもなっているようです。(午前中→学校、午後→ひろしまハウスというように)
最貧困層のこどもたちの支援には、残念ながら手が届いていないのが現状のようです。
親や保護者の仕事を手伝うことが求められ、
目先の生活のお金に困っているため、子どもを学校に行かせられない、という親の説得にはかなりの時間を要し、
また、そういう子は親の事情ですぐに来られなくなることも多く、継続した教育を行うことが難しいためとのことでした。
現地の先生への想い
現在は、ボランティアの現地マネージャーの友廣さん、現地の先生が4人、そして日本人ボランティアのまゆみさんの4人でひろしまハウスの運営をされています。
カンボジアでは、多言語を話せることが、他の教科の成績よりも就職の際にかなり有利になることから、
現地の先生は、英語と日本語を勉強してきた方だそうです。
多言語を話せる反面、先生としての勉強をしてきていない方々なので、
日本の教育の考え方を、まず現地の先生に伝え、
それを踏まえて教育の方法を話し合って決めているとのことでした。
挨拶を大事にすることや、
教室をみんなで掃除し、ごみはゴミ箱へ入れること、
勉強以外にもこういうことを学ぶ大事さを現地の先生にも伝えることが必要とのことでした。
先生も、また、そういった教育を受けたことがないため、常に手探りですが、
みんなで話し合うことで試行錯誤しているとのことでした。
現在の問題点
〇支援してくださる方々へのアプローチ
ひろしまハウス、建築当初から関わっておられる多くの支援者の方々、
ひろしまハウス建設の前段階である広島アジア大会1994年からでいうと15年の歳月が流れています。
当時から関わってくださっている方々に、
多くの歳月が流れる中で、
どうやって興味を持ち続けてもらうか、
寄付が価値のあるものだと感じていただくか、
という部分も、友廣さんが現地マネージャーとなる前はかけていた部分だったようです。
見返りを求めて寄付をするわけではないと思いますが、
やはりこどもど成長は知れた方が嬉しいですし、
自分の寄付がどのように使われているかも知りたいと思います。
多くの寄付者が高齢に一歩足を踏み入れている中で、
新しくひろしまハウスのことを知ることとなった世代にも
継続して興味をもってもらいたい。
そのために、ブログやFacebookの更新などは最近頻繁に行われており、
昨年はクラウドファンディングにも挑戦されました。
また、PCを使わない人向けにもフリーペーパーを作成され、送付されたりと、
寄付者に向けた新たな取り組みもひとつの課題とされていました。
〇こうもり問題
現在のひろしまハウスは、縁あって建築家の石山修武氏の設計で、
とっても素敵なデザインです。
伝統的な赤レンガの色も魅力になるよう設計されていますし、
開放的な吹き抜けもあり、風のとおりみちがいくつもあるので、
年中熱いプノンペンではとても助かっていると思います。
ただ、その開放感が裏目に出てしまい、現在、上階や吹き抜け部分の天井にこうもりが住み着いてしまっていました。
現在、建物としては1・2階部分しか使われていないのも、
3階以上の階はこうもりの糞害で床が汚染されており、
また、こうもり自体も飛び交っているので、非常に危険なため使用できないそうです。
建築自体はとても素晴らしいデザインで、カッコいいのに、もったいない、と考える方も多く、
上階でアートの展示会やファッションショーなどをさせてほしい、という依頼もあるくらいだそうです。
また、こどもたちにも、カンボジアの公立小学校にはない副教科の音楽や図工を教える教室を作ってあげたい、という想いもあり、
こうもりの駆除。
そしてこうもりが入ってこられないように開口部にネットを張る作業も必要になっているそうです。
感じたこと
同じモノゴトには、それを見る人の数だけ違う側面があり、
金銭的な支援をするひと
直接的な支援をするひと
ボランティアのひと
支援されるひと
日本人
カンボジア人
いろんな人が関わりひとつのプロジェクトになっています。
それぞれの立場を、別の立場の人が完全に理解することは難しいと思います。
ただ、想像することや、
寄り添うために理解しようと対話すること、
お互いの立場を考えることはできます。
それぞれがそういった努力をし、
ひとつの事業を行うのは、並大抵のことではなくて、
でも、そこに時間をかけることが、
継続した成果につながるのだろうと思います。
わたしが今回訪れたひろしまハウスでも、
わたしはただの応援者である、通りすがりの訪問者にすぎません。
しかし、これまでに関わってきた方々の想いを知っていて、
ひろしまハウスの様子をFacebookの投稿などで見ていたから、
とても他人事には思えないような気がして、
こうしてブログを書き、一人でも多くの人にひろしまハウスのことを知ってほしいと思いました。
今回のカンボジア訪問でも、プノンペンの知り合いとの食事の際などに、
「明日はひろしまハウスという場所に行くよ」
と言っても、そういう場所があることを、みんな知りませんでした。
プノンペンに住んでいて、
日本に興味がある子たちでも、知らなかったのです。
なので、草の根的ですが、
まずはわたしが、わたしの知り合いに、こういう場所があってね、って伝えたいと思いました。
それぞれに
こういう想いをもって
支援したり、
活動したり、
勉強したり、
している人たちがいるんだよって、
伝えていきたいなと思いました。